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シルバー産業新聞に掲載のお知らせ

2023年11月10日号の「シルバー産業新聞」に当法人が掲載されました。

神奈川県藤沢市の認定NPO法人「ぐるーぷ藤」は、1992年に任意団体の「ワーカーズ・コレクティブ藤」としてスタートしました。その後NPO法人を経て、2013年に公益性の高さや適正な運営が求められる認定NPO法人へと成長を遂げました。

この組織の始まりは、主婦5人によるヘルパー事業でした。その後、居宅介護支援、訪問介護業、通所介護と事業の幅を広げてきました。人材募集をしなくても、ヘルパー自身が友人を連れてくることで人材募集をしなくても人材を確保することができ、現在ではヘルパーが180人在籍しています。

ヘルパー事業を展開する一方で「終の住処は自分たちで決めたい」という思いから2007年に、藤沢駅から徒歩10分の場所に複合型福祉マンション「ぐるーぷ藤一番館」を建てました。

このマンションには介護保険のデイサービスやショートステイ、小規模多機能に加え、幼稚園、精神障がい者のグループホーム、高齢者住宅21室が含まれています。この取り組みは日本全国から注目を集め、様々な世代や状況の人たちが一堂に暮らす施設に、福祉事業者や行政機関からの問い合わせや視察が絶えませんでした。

代表の鷲尾公子さんや職員たちは実践しながらさらに勉強を重ね、「ぐるーぷ藤二番館」を2016年に開設しました。二番館は、サービス付き高齢者向け住宅44戸を含む施設で、デイサービスや超音波流水プール、レストランを備えています。

敷地内には深さ87mの井戸も掘りました。この井戸水は二番館で使用され、有事の際には地域住民が水洗トイレを利用できるように、4基のトイレも設置されました。これは、東日本大震災の際にトイレが使えず困っていた状況を見て、災害時に周辺住民を支援するために備えたものです。

さらに23年8月には、二番館の隣に「ぐるーぷ藤三番館・奏」が完成しました。1階にある障がい者グループホームは、障害支援区分2以上で、精神障がいまたは知的障がいのある人が対象で、生活保護受給者も入居可能です。2階は認知症対応型の住まいとなっており、藤沢市に住民票がある人が対象です。

居住空間の質にもこだわり、食堂の壁や床、居室内の壁紙、カーテンに至るまで丁寧に選びぬかれています。食器も高級感のあるものを鷲尾さん自身が選んでいます。また、夜間もスタッフが常駐しています。

「ぐるーぷ藤」の取り組みで全国から注目されたのが、一番館の資金調達方法です。市民が債権を購入してくれて、地元の銀行からも借り入れができたことで、建設費用などが工面できました。この方法は全国的にも珍しく、主婦集団のぐるーぷ藤が土地や建物を所有することができたのです。なお二番館と三番については、藤沢市から土地を50年の契約で借りています。

一方で、多くのヘルパーがここに集まる理由は、その柔軟な働き方にあります。「ここで働く人には、働く権利・休みを取る権利と、仲間を助ける義務があります。子供が急に熱を出したら休んでください。仲間が子供の用事で休んだ際には、あなたが代わってください--という、助け合いで運営しています」と説明し、納得して働いてくれる人が集まっています。

さらに、「プラスワン」という独自の働き方も採用しています。これは、通常必要な人数にもう一人加えて備えておくもので、週に1回か2回しか働けないような人でもプラスワン要員として参加できます。これにより、事情を抱えている人も安心して働くことができ、他のスタッフと同じ時給をもらえるのも大きな魅力です。

自ら出資・運営し、事情を抱える人でも働ける場を提供する「ぐるーぷ藤」は、スタッフ同士が助け合いながら航海を続ける「船」のような組織で、その船に乗りたいと思う人が今も集まってきます。一度参加した人はなかなか辞めることなく、10年、20年と長期間勤務するスタッフが多いです。

しっかりと収益を出し、それをスタッフに分配することが運営者の役割、と鷲尾さんは言います。看護師を確保するために、資格取得後にここで働いてもらう約束で、資格取得に向けた費用も支援しています。またボーナスや退職金制度(常勤で定年まで勤めた人が対象)もあり、スタッフを大切にする体制が整っています。

普通の主婦ヘルパー5人で始めたグループは、組織の形を時代に合わせて変えながら、働く人への還元を続け、施設を建てる際の資金調達を自ら行い、借入金の返済も順調に進め、高齢者や障がい者が最後まで安心して暮らせる住まいを3棟も創ったのです。

https://www.care-news.jp/notice/uYSz9

ご興味がございます方はぜひご覧ください。